新型コロナウイルス感染症 2020年4月10日

もともとコロナウイルスは4種類あり,約200種類と言われる風邪の原因ウィルスです.2002 年中国・広東省に端を発し8,000 人を超える感染者の SARS(重症急性呼吸器症候群),2012 年アラビア半島で MERS(中東呼吸器症候群)が報告,今回 2019 年 12 月から中国・湖北省武漢市で発生したのが今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)です.
 飛沫感染,接触感染で広がり,空気感染はしないと考えられる.潜伏期は 1 ~ 14 日間,曝露から 5 日程度で発症することが多いと言われます.80%の方は発症から1W程度で軽症のまま治癒しますが,20%の方で肺炎増悪し入院,そのうち2-3%の方が致死的変化と言われています.検査は,咽頭拭い液からPCRほうで遺伝子を増幅し検査します.

 治療は,特効薬はありません.肺炎のため,酸素吸入をい行っても十分な呼吸が出来ないときは,気管内挿管し,人工呼吸を行います.更に,肺炎の増悪などで.人工呼吸器を利用しても,自分の肺では酸素化と二酸化炭素除去ができなくなってしまったときには,「体外式膜型人工肺」(ECMOえくもextracorporeal membrane oxygenation)を利用することになりますが,この場合かなり予後は深刻です.

 50 歳以上で、酸素投与が必要となった方,糖尿病・心血管疾患・慢性肺疾患等の基礎疾患があって,酸素投与が必要となった方,年齢にかかわらず,酸素投与と対症療法だけでは呼吸不全が悪化傾向にある方に対し,抗ウイルス薬を検討するとされています.

 日本国内では,抗ウィルス薬として,抗HIVウィルス薬カレトラ,抗インフルエンザ薬アビガン(胎児死亡,催奇形性あり),喘息の吸入ステロイド薬オルベスコが適応外使用され,ある程度の有効性が認められており,今後臨床試験が行われるようです.海外では,抗エボラウイルス薬レムデシビル(2020/5/7日本で特例症にされました),抗マラリア薬クロロキンが使用されています.

厚労省 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版より